奇跡を呼ぶ!「核兵器禁止条約」
奇跡とは?いったい何が起こったのか?
奇跡を呼ぶ!「核兵器禁止条約」~藤沢市議会にて可決した陳情、その経緯~
小学3年生の時広島で被ばくした垰下(たおした)雅美さん(87歳)との出会いから私達は藤沢市議会にて「核兵器禁止条約」へ日本も批准することを求める陳情を行う行動を一気に進める決意をしました。
核兵器の使用・開発・などを国際法にて禁止するという画期的な条約は2017年国連で122か国の圧倒的賛成多数にて採択し21年1月に発行しました。被ばく者サーロー節子さんの国連での感動的なスピーチも世界を大きく動かしましたが、日本政府は批准せずその後の締約国会議にオブザーバー参加すらしないという態度に国内にとどまらず世界中からも戸惑いと落胆の声が上がっています。
藤沢市議会の変節
藤沢市は、国内でも先駆けて1982年に「核兵器廃絶平和都市宣言」を行い(全会一致)、そして95年に核兵器廃絶平和推進の基本に関する条例を再度全会一致で採択している先進的平和都市です。
そして核兵器禁止条約が国連で採択された直後の2017年9月と2018年12月の2度にわたる被ばく者と市民団体による請願が行われましたがどちらも本会議にて不採択となっています。
95年に条例が採択されて20数年の間、平和を願う市民の代表である議員とそれを構成する市議会は、議会に立ち核廃絶を訴えた被爆者を冒涜するといっても過言ではない、正に「人倫に悖る」決議をするような議会に変節してしまいました。
この背景には議員の質の低下、腐敗しきった国政の反映があるだと思います。
ここ最近報道されている議員からの市民及び市の職員などに対するパワハラ問題の多発などもそれを象徴しているものと認識せざるを得ません。
近隣の鎌倉、逗子、葉山町などで採択されているにもかかわらず藤沢市議会では採択には至らない。
こういった現在の藤沢市議会の状況を鑑みるうえで、今回の陳述内容に関しては、ぎりぎりの妥協であったこと、まずは"半歩"踏み出そうという今回の私たちの決意でした。
それでも被ばく者の核廃絶に対する絶対的な願い、世界平和情勢の悪化という問題の大きさに照らせば全く足りません。
核抑止論という名の神話
ロシアによるウクライナへの侵攻、イスラエルによるガザへのジェノサイド(大量虐殺)まさに「これでもか!」と人間の愚かさを突き付けられている…。
しかしここで明らかになったもう一つの事実、それはロシアは世界最大の核兵器保有国、イスラエルは中東で唯一の核兵器保有国であるという事。
あきらかに「核兵器は抑止力」ではなく他国を脅し、他国を侵略するためのものであるという事実。
被ばく国である私たちがそれを理解することは決して難しいことではない、「核抑止論」などに同意してはいけない、と思う。
真の国民の願いを仲間と共に
下記のグラフは、核兵器禁止条約への調印を(署名)・批准・参加を日本政府に求める意見書決議を自治体議会で採択された集計図です。(原水爆禁止日本協議会提供)
日々全国津々浦々でこの数は増え続けています、。
ところが、目を凝らすと岩手県は日本で唯一全自治体(33市町村)が採択しているではありませんか?
私はこの事に以前から注目をしていたのですが、そのわけを知りたくて2023年の秋、岩手県盛岡市にこの活動に尽力された岩手県原爆被害者団体協議会下村次弘事務局長と原水爆禁止岩手協議会菅野宗二事務局次長のお二人を訪ね、お話を伺いました。
結果大きなヒント、そして希望をいただきました!
岩手県に被ばく者がいることすら知らない議員が少なくない現状(実は藤沢もそうですが…)だった岩手県にて尽力されたその信念、市民運動、草の根運動などの原点がそこにあり、どのストリーもヒューマニズムあふれた活動の実績であったのです。
誌面の関係でその詳細を書き留めることはできませんが、藤沢での活動に大いに活用させていただきました。
もちろんその基本は「被ばく者とともに!」であることは言うまでもありません。
そして、陳情の前にできるだけ議員一人一人に直接会って話をするということは大前提であるということを改めて確認し、行動をしました。
そこで一つだけはっきりした事実を知りました。
それは、反対する議員たちのほとんどの理由は「国(自公政権)の決定に物申すということは出来ない!」というもの、まさに「自発的隷従」議員そのもの、議員として、一人の人間としての人格を持たないゾンビのような姿だった…。
そこには「地域主権」という発想もない、自治体の議員であることの本分すら知らないという現実でした、
今回私からの呼びかけに応え動いてくれた仲間・同志たちはそのような現実を目にし、言いようのない虚脱感に襲われることが多々あったとのことでした。
彼らの目の前に存在するそのような議員の姿は「隷従を甘受する」姿、そこには平和への真の国民の願いからははるかに乖離している姿そのものだった、ということでした。
まるで「考えることをやめた人々」のようだと…ふとアーレントの言葉を思い出した。
希望も見えた!
仲間たちが人一人の議員をなぞってみると「アッ!この人同級生だ!」「この議員00さんと仲がいいと聞いてる、」「ガキの頃から知ってるよ」等々、主宰するNPOメンバーからもサポーターたちが続々と声が上がり面談アポもすんなり取れた!という声も。
40万都市になった(44万人)藤沢、だんだん議員の顔が見えにくい都市サイズになっている様だがひとりひとりひも解いてくると「人として話ができる」ことに気が付き始める…きっとそこに希望がある…。
垰下(たおした)雅美さんの事
垰下さんは昨年1月医師から胃がんで余命6か月という厳しい診断を受けていました。
その後、放射線治療をはじめとする一切の医学的対処を受けず頑張ってこられた垰下さんの体調を何より最優先しながら細心の注意を払い活動を共にしたわけです。
3月の議会に陳情を行うという段階にて、私たちの議員一人ひとりと会って話をする、意見の申出や説得を試みるという行動に明らかに遅れがあること知り始めました。
しかし、次回の議会までに延期した場合、それまで垰下さんの体調が健康でいられるかが心配でした。
そこでの決意が、陳情書に「政府が核兵器禁止条約に参加・批准することを求める」という文言を入れないという苦肉の策、これを断腸の思いで決断しました。
「批准」というたった一言が入っているだけで反対するという発言をする議員がまだ少なくはない状況からの判断でした。(まったく情けない話ではありますが)
「奇跡!」
垰下さんのお体に起こった奇跡!
本会議における採決が決まったその日、垰下さんからの重大発表!
何と、「この間医者に診てもらったら、すっかり癌が消滅していた!」とおっしゃるじゃありませんか!!
驚きと喜びとこの奇跡のようなお話に私たちを手を取り合って喜びました!
いろいろと課題の残った活動だったけど何よりこんな良い結果はない、そう思います。
そして、次回に向けてさっそく私たちは動き出しました!
"核兵器廃絶・世界恒久平和を願い"「核兵器禁止条約に日本も積極的に参加、批准することを求める、そして唯一の戦争被ばく国として世界をリードする役割を!」と。
(余談)本会議の日…。
採択の場において反対の議員は、甘粕和彦、佐野洋の2名の自民党議員でした。
傍聴席の市民から「あきれてものが言えない」という声「裏金用意しなかったからしょうがないね…」という皮肉もありましたが、私は違う事実をそこに見ることができました。
苦肉の策として「批准」という文言を外したこの陳情に対し、国の方針にものをいうことはならん、という彼らにしてみれば「これだったら賛成してもいいか」、という多数の議員にあって、この2人の自民党議員ががかたくなに反対したということは、「これはあきらかに日本政府に批准求めているものだ!」と認めたことになるではないか…。
ありがとう!そのとおり、あっぱれ!とエールを送りたい。
ちなみに、この甘粕和彦議員は私の妻が保育士だったころの園児だったとのこと、すくすく育ってくれてよかったと喜んでいます。市民はこのように見守っているのです。
ただこれ以上腐敗のしようがないほど腐敗しきった自民党という政党、これを選んだことはザンネン!
まだ若いのですから、是非ご再考を…。
最後に
私たち主権者は選挙での一票だけではなく、その後の議員の活動や時には言動なども見続けている義務がありますし、何より市民と議員が思索し合い共に育つ関係であるべきと思います。
今回面談していただいた議員の皆様、ご協力頂いた方々に感謝申し上げます。
(文責:「議員を先生と呼んではいけない」会 代表武本匡弘)
本会議の映像をどうぞご覧ください ※原田議員からの賛成討論に皆希望をいただきました!
◆令和6年3月6日 総務常任委員会 垰下さんの陳情
陳情5 第32、33 6分29秒
https://shigikai.city.fujisawa.kanagawa.jp/g07_Video_View.asp?SrchID=21222
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